「クリスマスタイム  -Christmas time-」
 
 
登場人物
 
 
有馬隼    アリマ ハヤト:20歳 男性 
考えることが面倒で、サバサバした性格の青年。
今まで男子校で学生生活を送っていたため、大学に入っても
女の子とどんな話をしていいか分からなく、恋愛まで発展しない。
また、若干頭のネジが外れている時がある
 
 
見習いサンタ ミナライサンタ:見た目の年齢20歳 女性 
サンタの見習い。人当たりは良く、どんな人にでも笑顔を向ける。
慌て者で色々とドジをやらかすことがある。たまにボケた発言を
するが頭は良いらしい
 
 
ナレーター      :性別不明
 
 
 
 
 
*表記方法+配役+台詞数(Lines)*
 
 
隼:   L109
サンタ: L98
ナレ:  L42
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ナレ:十二月二十四日、クリスマスイブ。キリストが生まれた聖なる日の前日に、
       恋人たちはお互いの絆を深め合う。そんな日に人気の少ない夜道を一人歩く青年がいた
 
 
隼:はぁ、今日も帰るの遅くなったな。
     ……今頃日本中のカップルはいちゃついている訳か
 
 
ナレ:彼はブツブツとぼやきながら家路へと急ぐ
 
 
隼:クリスマスに『イブ』なんてあるのって日本だけじゃないのか?
     なんで前日まで祝うんだよ……最近はバレンタインにまでイブの日があるし
 
 
ナレ:今の自分の状況を嘆きながら、ふと空を見上げる
 
 
隼:あーぁ、こんな時に「親方ー、空から女の子が!」とかあったらなー……って、なんか……落ちてる?
 
 
ナレ:目を凝らすと、よく分からない物体が彼のほうへ落下している
 
 
隼:え!?ちょ、こっちにくんな……っぐわっ!!!
 
 
ナレ:彼の願いむなしく、謎の物体は見事彼へと直撃した。
       その衝撃で気を失わなかったのは彼の運の良さであろう
 
 
隼:くっそ……一体何なんだよ……ん?
 
 
サンタ:いたたたたー……あっれぇ、ちゃんと着地できるはずだったんだけどな……
 
 
ナレ:隼は呆然とする。それもそうだろう、空から降ってきたのは、
       先程言っていたように女の子であったのだから
 
 
サンタ:あ!もしかして、有馬隼さんですか?
 
 
隼:え、あぁ。そうだけど……
 
 
サンタ:私、サンタです!あなたの願い事を叶えに来ました!
 
 
隼:……へ?
 
 
サンタ:えへへ……
 
 
ナレ:赤い服と赤い帽子を被った彼女は「サンタ」と、そう名乗った
 
 
 
 
 
サンタN:月シリーズ 十二月 クリスマスタイム
 
 
 
 
 
隼:……んでそれで?仮にアンタがサンタだったとしよう。なんで俺の所に来たんだ?
 
 
サンタ:えっと、それはですね……。私はまだサンタの見習いなんですけど、
          正式なサンタになるためには試験をクリアしなければいけないんです。あ、あと……
 
 
隼:ん?
 
 
サンタ:「アンタがサンタ」って……シャレですか?
 
 
隼:違う
 
 
ナレ:このままでは寒いからと、とりあえず隼の家に戻った二人。
      そして隼の下へ来た理由は、その試験を無事パスしなければいけないというものだった
 
 
隼:へぇ、サンタでもそんなのあるんだな……で、その試験ってのは?
 
 
サンタ:人間界へ来て、一人の願い事を叶えなくちゃいけないんです
 
 
隼:願い事って……なんか魔法みたいのは使えないのか?それで叶えれば簡単じゃないか
 
 
サンタ:一応使えるには使えるんですが、直接願い事に関わる魔法は
         使わないようにと言われてるので。自力で叶えてこそサンタの本来の姿なんだそうです
 
 
隼:面倒くさいシステムだな
 
 
サンタ:なので!
 
 
隼:ん?
 
 
サンタ:隼さんの願い事を教えてもらえませんかっ
 
 
隼:無いぞ
 
 
サンタ:えっ!無いんですか!?
 
 
隼:あぁ
 
 
サンタ:普通あるじゃないですか、なになにが欲しいとかお金持ちになりたいとか世界平和とか!
 
 
隼:んー……あ、それじゃあ全世界中のカップルを爆殺―――
 
 
サンタ:他人が不幸になる願い事はダメですー!それにそんなの魔法でも使わなきゃ無理じゃないですかー
 
 
隼:だから一組ずつ鈍器でガンッ!と
 
 
サンタ:そんなことするわけないですよ!
 
 
隼:そしてアンタはこう言う、「お前らに血の雨をプレゼントだ!!」と
 
 
サンタ:どんなキャラですか私!
 
 
ナレ:ずいぶんとノリノリな二人である
 
 
隼:というか、お前の言ってた願い事だって魔法使わないといけないじゃないか
 
 
サンタ:うっ
 
 
隼:(あくび)……とりあえず俺は眠いからもう寝るぞ
 
 
サンタ:えぇっ!私はどうしたらいいんですかぁ!?
 
 
隼:その願い事って今日じゃないと駄目なの?
 
 
サンタ:え?あ、いえ。25日までの期限なので
 
 
隼:じゃあ明日な……おやすみ
 
 
ナレ:布団にもぐりこむ隼
 
 
サンタ:そんなぁ!?
 
 
隼:アンタはどうするんだ?
 
 
サンタ:ぐす……寝ますぅ
 
 
ナレ:そう言って隼の布団に入り込むサンタ
 
 
隼:……なぁ、おい
 
 
サンタ:なんですか?
 
 
隼:誰が一緒に寝ろと?
 
 
サンタ:人間の文化では男女は同じ寝床で夜を共にするんじゃ……
 
 
隼:どこの情報だよ。初対面で寝床を共にするヤツがどこにいる
 
 
サンタ:え、違うんですか?それに布団一つしかありませんし……
 
 
隼:それくらい魔法でなんとかならないのか?
 
 
サンタ:あぁ、そうですねっ
 
 
隼M:間抜けなヤツだな……。見た目は……まぁ、少し……いや、だいぶ可愛いけど
 
 
ナレ:と、女の子と二人同じ部屋にいることに若干悶々とした気持ちを抱えつつ、夜は明けていく
 
 
 

−翌日 早朝−
 
 
 
サンタ:隼さん、朝ですよー!
 
 
隼:んー、あと五分だけ……
 
 
ナレ:そう言って布団に包(くる)まる隼
 
 
サンタ:そんなこと言ってるとすぐ夜になっちゃいますー
 
 
隼:じゃあ五分だけ寝かせて。これが俺の願い事
 
 
サンタ:私が努力して願いを叶えるのが試験なので、これだと認めてもらえませんっ!
 
 
ナレ:その後も起きろと叫ぶサンタに負け、しぶしぶ布団から出る
 
 
隼:あ゙ー……まだ眠いのに……それに寒いし
 
 
サンタ:それじゃあ出かけますから準備してください
 
 
隼:ん、どっか行くのか?
 
 
サンタ:はい、デートをしましょう!
 
 
隼:は?
 
 
ナレ:サンタの口からありえない単語が聞こえ、一気に眠気が吹っ飛ぶ
 
 
サンタ:聞こえませんでしたか?デートですよ、デート
 
 
隼:いや、だからなんでお前とデートしないといかんのだ
 
 
サンタ:デートって男女二人が連れ立ってどこかに行くことじゃないんですか?
 
 
隼:合ってるには合ってるが、その男女は恋人同士じゃないとデートとは言わないんだ
 
 
サンタ:恋人って、お互いのことが好きな男女の関係のことですよね?……隼さんは私のこと嫌いですか?
 
 
隼:いや、嫌いじゃないが―――
 
 
サンタ:嫌いじゃないんですね?私は隼さんのことは好きです!ならこれで恋人同士ですねっ
 
 
ナレ:捲(まく)し立てるように言うサンタ      ※捲し立てる=まくしたてる
 
 
隼:理屈が良く分からん……
 
 
サンタ:やっぱり、私のこと嫌いなんですか……?
 
 
隼:ああもう、泣こうとするなっ!好きだから、なっ!
 
 
サンタ:じゃあ行きましょ、デート!
 
 
隼:騙された……
 
 
ナレ:嘘の涙だった
 
 
隼M:なんだかなぁ……まぁいいけどさ
 
 
ナレ:面倒くさいと思いつつも、サンタの容姿は良いため満更でもない様子の隼である
 
 
隼:それで、どこに連れて行くんだ?
 
 
サンタ:えっとー……、考えてませんでしたー
 
 
隼:おい
 
 
サンタ:いやー、とりあえず外をぶらぶらと歩き回っていたら願い事が浮かんでくるんじゃないかなーと。あはは……
 
 
隼:なんだそれ……
 
 
サンタ:でもでも、家に閉じこもってるよりも、外の空気吸ってた方がマシじゃないですか
 
 
隼:お前は俺の親か
 
 
サンタ:……あ、隼さん。そういえば隼さんに聞いておかないといけないことがありました
 
 
隼:なんだ?
 
 
サンタ:隼さんに恋人っていますか?
 
 
隼:……それはアンタがその相手だって言って欲しいのか?
 
 
サンタ:いえっ!そういうことではなくて……恋人とは別の人とそういう関係になることは
          罪だと聞いていたので、もしかして隼さんは罪を犯したのではないかと……
 
 
ナレ:サンタの真面目な表情に隼は微妙な表情を浮かべる


隼:それもサンタ界の情報か?


サンタ:はい、そうですが……これも違うんですか?


隼:全く違うとは言わないけど、犯罪にはならねーよ。まぁその後の展開では犯罪になるかもしれないが


サンタ:?
 
 
 
隼:気にしなくてもいい。あと俺は今まで恋人なんていないから
 
 
サンタ:じゃあ私が隼さんの初めての恋人ですねっ!
 
 
隼M:なんともまぁ、恥ずかしいセリフを……
 
 
ナレ:口には出さないがサンタのその言葉に少しドキドキしている隼
 
 
サンタ:……そういえば、さっきから周りの人が私をチラチラ見てくるのはなんででしょうか?
 
 
隼:そりゃ、そんな格好をしてるからな
 
 
ナレ:今の彼女は赤い帽子と服とブーツを身に付けた格好で、誰がどう見てもサンタのそれであった
 
 
サンタ:確かに他の方たちと服装の感じが違いますね
 
 
隼:今日はクリスマスだしコスプレしてると思ってるから問題はないな
 
 
サンタ:コスプレ?
 
 
隼:覚えなくていい文化だ
 
 
 
 
 
ナレ:ぶらぶらと歩いている内に、街中にある時計は十二時を指し、それを伝えるための音楽がどこからか流れる
 
 
隼:あぁ、もう昼か……そういや朝飯食ってなかったからお腹すいたな
 
 
サンタ:それではあそこで食べましょう
 
 
ナレ:そう言って目の前を指差す
 
 
隼:あそこでって……公園だぞ
 
 
ナレ:そう言いながらも二人は公園へと移りベンチに腰掛ける
 
 
サンタ:何が食べたいですか?
 
 
隼:え?……あー、おにぎりかな
 
 
サンタ:おにぎり……日本の主食の米で作るあれですね
 
 
ナレ:そう言うとサンタは掌から光を発し、一瞬の内におにぎりが手から生み出された
 
 
サンタ:はいどうぞ。それではいただきましょうか
 
 
隼:おぉ……普通にすごいな。どういう仕組みなんだ?
 
 
サンタ:えーっと、簡単に説明しますと、私の体の中にあるエネルギーを
          原子レベルの物質に変換して構築するというのが一応の仕組みです
 
 
隼:ふーん……でも、誰だって出来る訳じゃないんだろ?
 
 
サンタ:そうですね、見習いの中で魔法を自由に使えたのは私を含めて二、三人程度でした
 
 
隼:二、三人って……意外と優秀だったんだな
 
 
サンタ:えへへ
 
 
隼:……そういえば聞き忘れてたんだが
 
 
サンタ:はい、何でしょうか?
 
 
隼:もし試験にパスできなかったらどうなるんだ?
 
 
ナレ:隼の質問に一瞬、サンタの笑顔が曇った
 
 
サンタ:……もし出来なかった場合は見習いの資格を剥奪されてしまいます
 
 
隼:それってもうサンタになれないってことか?
 
 
サンタ:はい。そして、剥奪された人の存在は消えてしまいます
 
 
隼:消えるって……、死ぬってことか?
 
 
サンタ:人一人の願いを叶えられないサンタは必要ないですから
 
 
隼:……ちなみに試験にパスできるのはどれくらいなんだ?
 
 
サンタ:毎年一人、もしくは0ですね。サンタは少ないからこそ価値があるんです
 
 
隼:……
 
 
サンタ:一日二日で人の願い事を叶えることは難しいですからね
 
 
隼:どうして、こんな状況で笑ってられるんだ?
 
 
サンタ:人に幸せを届けるのがサンタの仕事ですから
 
 
ナレ:そう言って彼女は満面の笑みを浮かべた
 
 
隼:……なんかすまんかった
 
 
サンタ:どうして隼さんが謝るんですか?
 
 
隼:いや……、そんなに大事な試験だとは思わなかったから
 
 
サンタ:そんな気にしなくてもいいですって!それに時間はまだありますから
 
 
隼:……よし
 
 
サンタ:どうしました?
 
 
隼:昼飯を食べたらまた歩き回ろう。願い事、必ず見つけてやるから
 
 
サンタ:はいっ!
 
 
 
 
 
ナレ:しかしその後も街を散策し、何か思いつかないかと試行錯誤するも全く思いつかず、とうとう日も暮れてしまった
 
 
隼M:思いつくモノ全部簡単なのばっかりだ。……このままじゃダメだ
 
 
ナレ:己の無力さに嫌悪する隼。そもそも願い事を考えるという行為自体おかしいと気付き、ますます嫌な気分になる
 
 
サンタ:なんか隼さんが試験を受けてるみたいですね
 
 
隼:何笑ってんだ、これじゃ俺が馬鹿みたいじゃねぇか
 
 
サンタ:いえ、馬鹿にしているわけでは……。昨日会ったばかりの私のために
          こんなに頑張ってくれるなんて、嬉しいなと思いまして
 
 
隼:出会ってからの日数とか関係ねぇよ、俺がこうしたいからこうしてんだ
 
 
サンタ:もう、いいですよ
 
 
隼:何が?
 
 
サンタ:もう大丈夫です、隼さんは充分頑張ってくれました。本来私が頑張らないといけない立場なのに
 
 
隼:そんなこと気にしなくてもいい。俺が好きでやってることなんだから
 
 
サンタ:でも―――
 
 
隼:それ以上言うな。絶対、絶対に合格させてやるから
 
 
サンタ:隼さん……
 
 
ナレ:その瞬間、イルミネーションが一斉に輝きだし、暗くなった街を照らし出した。街中の人々はそれに魅了された
 
 
サンタ:うわぁ、すごく綺麗……まるで星空みたいです
 
 
隼:そう、だな
 
 
サンタ:……最後にこんなに綺麗なものが見れたんです。もう悔いはないです
 
 
隼:それは本心なのか?
 
 
サンタ:はい。デート、楽しかったですよ。恋人がいることってすごく幸せなことなんですね
 
 
隼:そういや、一応デートだったな
 
 
サンタ:私は隼さんと歩きながら話しているだけでも楽しかったんですから
 
 
隼:そうか
 
 
サンタ:だから、消える最後まで恋人でいてくださいね
 
 
隼:あぁ…………ん?
 
 
サンタ:どうか、しましたか?
 
 
隼:恋……人……
 
 
サンタ:隼、さん?
 
 
隼:これだっ!
 
 
サンタ:きゃっ!?どうしたんですか、急に大声出して?
 
 
隼:……俺の願い事が決まった
 
 
サンタ:え?
 
 
隼:……これからもお前と恋人の関係でいたい。これが俺の願いだ
 
 
ナレ:隼の突拍子のない願いにサンタは唖然とする
 
 
サンタ:それって……願い事として成立するんでしょうか……?
 
 
隼:するさ。この願いは俺の本心だし、お前は俺とデートするために会いに行かなきゃいけないという努力が必要になる
 
 
サンタ:なんか……すごく屁理屈ですね
 
 
隼:ほっとけ。それでどうする、俺の願いを叶えてくれるのか?
 
 
ナレ:サンタは「んー」と言いながら何か考え事をしている
 
 
サンタ:……この願い事は、告白というものですか?
 
 
隼:……なんでわざわざそんなこと聞くんだ
 
 
サンタ:告白とは異性に好意を伝えること、ですよね?……つまり、私のことが好きってことですか?
 
 
隼:あぁ、そういうことだ
 
 
サンタ:えへへ
 
 
隼:……嬉しそうだな
 
 
サンタ:好きって言われると心が暖かくなりますね
 
 
隼:……そうだな
 
 
ナレ:サンタは決心したのか、真面目な表情で口を開く
 
 
サンタ:それでは、隼さんの願い事を叶えます。……私も隼さんが好きです。なのでこれからも恋人としてよろしくお願いします
 
 
ナレ:そう言うとサンタの掌から光が放たれ、空へと飛んでいった
 
 
隼:これで、もう消えなくて済むのか?
 
 
サンタ:多分……大丈夫です。一応あちらの方へ伝えましたので
 
 
隼:そうか……(あくびをする)なんか疲れがドッと来て、眠いな……
 
 
サンタ:それでは家に戻りましょうか
 
 
隼:あぁ
 
 
ナレ:こうして家へと帰る二人。家に着いた瞬間隼は気が抜けたせいか床へと倒れこみ、あっという間に眠ってしまった






−翌日−
 
 
隼:んん……あれ、アイツは?
 
 
ナレ:隼が起きた時には部屋にサンタの姿は無く、彼ただ一人だった
 
 
隼M:アイツ、試験に合格したから一旦帰ったのか……もしかして消えてしまったんじゃないだろうな?
       いや、それとも今までの全部夢だったのか……?
 
 
ナレ:このまま部屋の中にいても何も始まらないと思った隼は家から飛び出す
 
 
隼M:……とは言ったものの、どこを探していいか全く分からないな
 
 
ナレ:昨日通った場所を歩いてみるが一向に見つからず、歩みを止める
 
 
隼M:……そういやアイツ、空から降ってきたんだったな。それで俺にぶつかって……、あの時はこうなるとは思わなかったな
 
 
ナレ:そんなことを考えながら空を見上げる
 
 
隼:あー、空気が澄んでるな。雲ひとつない…………ん?
 
 
ナレ:目を凝らすと、ポツンと空に何か見える。そしてそれは段々と大きくなり、隼のいる場所へと落下し近づいてくる
 
 
隼:おい!?これ一昨日と同じパターンじゃ……ぐあっ!!
 
 
ナレ:見事に隼へと命中。目を開けると、彼の望んでいた「願い事」がそこにはあった
 
 
サンタ:いたたた……、なんでいつも上手く着地出来ないかなぁ
 
 
隼:……なんで二度も俺の上に落ちてくるんだ
 
 
サンタ:へっ!?あ、隼さん。おはようございます!
 
 
隼:あー……なんか調子狂うな
 
 
サンタ:そんなことよりもっ、無事試験に合格することができました!
 
 
隼:そっか、それはよかった
 
 
サンタ:他に何かないんですか?おめでとうとか
 
 
隼:あー、おめでとう
 
 
サンタ:すっごく適当です……
 
 
隼:朝いなかったのは手続き的なアレか?
 
 
サンタ:はい、そんな感じです。それと、来年のクリスマスの準備まで特にすることが無いようなので、それまでこちらにいてもいいらしいです
 
 
隼:ん?どういうことだ?
 
 
サンタ:自分で言った願い事忘れたんですか?私を恋人にしたいって
 
 
隼:あー、そう……だったな
 
 
ナレ:思い出して恥ずかしくなる隼
 
 
サンタ:なので、これからもよろしくお願いしますね!
 
 
隼:……あぁ
 
 
 
 
 
サンタ:次のクリスマスまで、私はあなただけのサンタクロースです
 
 
 
 
 
-fin-
 
 
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