「フルムーンラバー  -Fullmoon lover-」
 
 
登場人物
 
 
月川 茜  ツキカワ アカネ:16歳 男性 高校生二年生。見た目はかっこいいより可愛い系で背も低いほう。それゆえに名前が女の子っぽいことを気にしている
 
兎山 美月 ウヤマ ミヅキ:17歳 女性 アクティブな性格で男女共に人気がある高校三年生。頭脳明晰、容姿端麗、背も高いほう。しかし、どこかネジが外れている。茜とは家がお隣さん。
 
蟹矢 洋平 カニヤ ヨウヘイ:16歳 男性 茜のクラスメイト。関西の強い方言を使っている。性格は陽気。賢いが少し忘れっぽい一面も
 
 
 
*表記方法+配役+台詞数(Lines)*
 
茜:  L57
 
美月: L63
 
洋平: L39
 
 
 
 
 
 
 
 
−登校中−
 
 
美月:ねーぇ、茜ちゃん
 
 
茜:なんですか、先輩。あと、いつも言ってますがちゃん付けは止めてください
 
 
美月:今日は何の日か知ってる?
 
 
茜:え、今日ですか?確か・・・リサイクルの日でしたっけ?  (※この劇の中では2010年10月20日です
 
 
美月:よくそんなマニアックな日を知ってるね。けど私はリサイクルは嫌いだわ
 
 
茜:エコ活動している人全員敵に回しましたね。じゃあ・・・新聞広告の日ですか?
 
 
美月:ツッコミ役がボケてどうするのよ?私が求めていた答えは「お月見」よ
 
 
茜:え?お月見って九月の下旬にやったじゃないですか
 
 
美月:九月にあったのは中秋の名月で、今日は後の月よ。ちなみに十三夜、栗名月とも呼ばれてるの
 
 
茜:・・・先輩もマイナーな話じゃないですか
 
 
美月:あぁ、そうやってむくれる茜ちゃんも可愛いなぁ
 
 
茜:わっ!?急に抱きつかないでくださいよ!
 
 
美月:あぁごめん、目の前に可愛らしい茜ちゃんがいたもんで
 
 
茜:僕は猫じゃないですよぅ!
 
 
美月:まぁそんなわけで。今日は私の家で月見やるわよ
 
 
茜:・・・そんなに遊びまくって、受験勉強はしなくていいんですか?
 
 
美月:ふっふーん、つい先日推薦をもらったんで受験勉強はしなくてもいいの
 
 
茜:はぁ、そうですか・・・。それじゃあ学校終わったらスーパーで団子買ってきますね
 
 
美月:あ、あと枝豆と栗も買ってきてくれるかしら
 
 
茜:枝豆と栗、ですね。はい、わかりました
 
 
美月:あとウサミミ
 
 
茜:それは売ってませんし、あっても付けませんっ
 
 
 
 
 
美月N:月シリーズ 十月 フルムーンラバー
 
 
 
 
 
−休み時間−
 
 
洋平:へぇ、また月見するんかいな。しかもあのめっちゃ美人の先輩と
 
 
茜:今、羨ましいとか思っただろ
 
 
洋平:よぉわかったな
 
 
茜:・・・じゃあ今日の月見、一緒に行くか?
 
 
洋平:ええんか!?あ、でもそれやったら出歯亀になってしまわんか・・・?
 
 
茜:ならないよっ
 
 
洋平:せやったら行かせてもらおっかな
 
 
茜:その代わり一緒に買い物に付き合ってくれる?必要なものがあるから
 
 
洋平:んなもんお安い御用や
 
 
−放課後、スーパーにて−
 
 
洋平:んで、何がいんの?
 
 
茜:えっと、枝豆と栗が必要なんだってさ。珍しい組み合わせだよね
 
 
洋平:あー、確か中秋の名月にはススキとサトイモを供えるんやけど、後の月には枝豆と栗を供えるから・・・やったと思うで
 
 
茜:へぇ、知らなかった
 
 
洋平:まぁ、知らんのが普通やけどな。やっぱり先輩は博識やなぁ
 
 
茜:でも蟹矢も知ってるじゃん
 
 
洋平:俺はそのー、あれや。女の子にモテるための豆知識やから
 
 
茜:・・・動機が不純だな
 
 
洋平:ほっとけ、そんで他には買わんの?
 
 
茜:後は先輩の家で適当に見繕うよ
 
 
洋平:そういや、先輩の家って親おらんの?
 
 
茜:今夫婦で旅行してるらしいよ
 
 
洋平:先輩をほおっといてかいな。先輩は料理できんの?
 
 
茜:ん、あぁ・・・
 
 
洋平:どないした?いきなり暗い顔して
 
 
茜:いや、先輩の料理?らしきものを食べたときの記憶が甦って・・・
 
 
洋平:疑問系になるくらいってどないやねん・・・。そんじゃあその間どうしてんの?
 
 
 
 
美月:茜ちゃんがいるから問題ないわー、いってらっしゃーい♪
 
 
 
 
茜:って言って両親を見送ってたよ
 
 
洋平:ええ女房役してんのやな
 
 
茜:・・・ツッコまないからな
 
 
 
 
 
−美月の家に到着−
 
 
美月:あ、やっときた・・・の・・・
 
 
洋平:ども、茜のクラスメイトの蟹矢でっす!
 
 
茜:あ、友達連れてきたんですけど、ダメでしたか?
 
 
美月:いや、そんなことないわよ。どうぞ上がって
 
 
洋平:それじゃあお邪魔します
 
 
茜:お邪魔します
 
 
美月M:まさか友達を連れてくるとは思わなかったわ。でも、うまく利用すれば・・・!
 
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 
美月:早速だけど、蟹矢クン、だっけ?ちょっとこっちに来てくれる?
 
 
洋平:はい、なんですか?
 
 
茜:あれ、僕は?
 
 
美月:茜ちゃんには内緒の話よー
 
 
茜:なんだよそれー
 
 
洋平:もしかして・・・プロポーズですか?
 
 
美月:違うわよ、ちょっとこっちに来なさいっ
 
 
洋平:ぐえっ!?
 
 
茜M:初対面なのに仲いいなぁ・・・
 
 
 
 
 
洋平:ほんで、一体なんですか?
 
 
美月:単刀直入に言うわ。私と茜ちゃんがくっつくように手伝いなさい
 
 
洋平:・・・そんなことせんでも茜は充分先輩のこと好きやと思いますけど
 
 
美月:マジ!?本当に!?
 
 
洋平:口ではあんなこと言ってるけど先輩にベタ惚れなの、よう分かりますよ
 
 
美月:いやーんもうっ!
 
 
洋平:痛いですって!
 
 
美月:・・・でもね
 
 
洋平:はい?
 
 
美月:茜ちゃん、一回も好きって言ってくれないのよ
 
 
洋平:そんでボクに好きって言わせるようになんとかせぇ、と
 
 
美月:そういうことよ、頼むわね
 
 
洋平:具体的にはどないするんですか?
 
 
美月:まずは・・・嫉妬作戦よ
 
 
洋平:嫉妬、ですか?
 
 
美月:そうよ。前に男子から告白されたって嘘をつくからそれに話を合わせてくれればいいわ
 
 
 
 
 
茜:枝豆と栗買ってきたけど、ちゃんと意味があったんですね
 
 
美月:そうよ・・・でもよく知ってたわね
 
 
茜:洋平の知識だけどね
 
 
美月:へぇ
 
 
洋平:いやいや、ボクは下心アリの知識なんで先輩の博識には敵いませんよ。それに先輩は美人ですし、言い寄ってくる男は多いんとちゃいます?
 
 
美月:なんか下品な言い方ね
 
 
茜:洋平だからね
 
 
洋平:二人とも痛いこといいますなぁ
 
 
美月:でも言い寄ってくる、ってのは合ってるわね
 
 
茜:え、そうなんですか?
 
 
美月:ふっふーん、まぁねー チラッ
 
 
茜:そう、ですか・・・
 
 
美月M:ダメ!こんな顔の茜ちゃん、見てられないっ
 
 
美月:ごめん、今の嘘!
 
 
茜:え・・・?
 
 
美月:ただ茜ちゃんを困らせたかっただけなのよぅ
 
 
茜:どうしてそんなこと・・・
 
 
洋平:あー、先輩ちょっといいですかー!
 
 
 
 
 
美月:ごめん・・・
 
 
洋平:せっかく先輩の言うとおりに進んでましたのに
 
 
美月:あんな悲しそうな茜ちゃん見てられなくて
 
 
洋平:で次はどないしますのん?
 
 
美月:今度はお色気作戦よ
 
 
洋平:・・・名前で何するかは予想はつきましたわ
 
 
美月:蟹矢クンには席を外してもらうわよ
 
 
 
 
 
茜:あれ、洋平はどうしたんですか?
 
 
美月:なんか急にお腹が痛くなったみたいでトイレに行ったわ
 
 
茜:何の話をしてたんですか?
 
 
美月:(ここから少し色っぽく)そんなことよりもさっきはごめんね、あんな嘘ついちゃって
 
 
茜:別にいいですよ、気にしてないですから
 
 
美月:私は、気にしちゃうな
 
 
茜:な、なんで近づいてくるんですか
 
 
美月:ホントはね、茜ちゃんの気を引くためにやったの
 
 
茜:ど、どういう意味ですか?
 
 
美月:茜ちゃんには私だけを見ていて欲しかったから・・・
 
 
茜:せ、先輩・・・
 
 
美月:茜ちゃん・・・(ここまで少し色っぽく)
 
 
洋平:はぁー、すっきりしたわぁー
 
 
美月:え!?
 
 
茜:よ、洋平・・・
 
 
洋平:あ・・・ホンマに用足してたら目的完璧に忘れとった
 
 
美月:蟹矢クンー、ちょっとこっちに来ようかー!
 
 
 
 
 
美月:せっかく上手くいってたのにー!
 
 
洋平:いやー、ははは。なんというか、いつも通りが一番いいと思いますよ
 
 
美月:なによそれぇ・・・
 
 
洋平:なもんでボクはそろそろ帰らせてもらいますわー
 
 
美月:なんか面倒臭くなって逃げようとしてない?
 
 
洋平:そ、そんなことないですって!それじゃあまた!
 
 
美月:あっ、こら待て・・・って、逃げ足速っ!?
 
 
 
 
 
茜:あれ?また洋平がいない
 
 
美月:えーっと、用事が出来たから帰るって言ってたわよ
 
 
茜:・・・本当ですか?
 
 
美月:ほ、本当よ
 
 
(間を空ける)
 
 
美月M:やらかした後にこの沈黙はなんか辛いわね
 
 
茜:・・・月が
 
 
美月:え?
 
 
茜:今夜は月が綺麗ですね
 
 
美月:そ、そうね
 
 
茜:・・・これでいいですか?
 
 
美月:え?どういうこと?
 
 
茜:僕に・・・好きって言わせたかったんですよね
 
 
美月:なんでそれを!?
 
 
茜:声が筒抜けでしたから
 
 
美月:あっちゃあー・・・あれ?じゃあなんで分かってたのにあんな反応してたの?
 
 
茜:やっぱり乗ってあげないと可哀想かなって
 
 
美月:だ、騙したのね!
 
 
茜:でもお色気作戦はやっぱりドキドキしました
 
 
美月:あーぁ、無駄に疲れちゃったわ。・・・で、好きってのとあの言葉にどういう関係が?
 
 
茜:(笑顔で)教えてあげません
 
 
美月:くっはー!小悪魔な茜ちゃんも可愛いわぁ!
 
 
茜:ちょっと、抱きつかないでください!あとちゃん付けで呼ばないでくださいっ!
 
 
 
 
 
茜N:結局次の日からも僕と先輩の関係は変わらなかったけれど、先輩があの時僕の言った意味を知ってしまったようで、何かあるとすぐにニヤニヤ顔で
 
 
美月:茜ちゃん、今夜は月が綺麗ですねー
 
 
茜N:と僕を茶化すようになった。・・・こんな意地悪な先輩だけれども、僕は先輩のことが好きです
 
 
 
 
 
−Fin−
 
 
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