「スプリングフィールド」


登場人物

百田智春   モモタ トモハル:18歳 男性
気が弱いが内弁慶な高校生。たまに天然のタラシっぽくなる
高校入学時から同じ学年の梅井吉乃という子に好意を持っているが
まともに話しかけた回数も少なく、高3の卒業を迎える


香山さつき  コウヤマ サツキ:18歳 女性
智春の幼馴染。智春から吉乃が好きだということを聞かされ、
彼のサポートをしていたが、実はさつきは智治のことが好き。
お前と呼ばれるのが嫌なので、智春とはお互いに名前で呼び合っている。

 

 

*表記方法+配役+台詞数(Lines)*

智春:   L66

さつき:  L66

 

 

 

さつきN:四季シリーズ 春 スプリングフィールド

 

-下校中-

 

智春:はぁーあ・・・


さつき:どうしたのよ、いきなりため息なんかついて。大学も第一志望に合格したし、明日で無事卒業式なんだから幸せじゃない


智春:だって・・・もう明日で梅井さんに会えなくなるんだぜ、辛くて明日学校に行けない・・・


さつき:あぁ、吉乃ちゃんのことね・・・明日行かなきゃもう同窓会まで会えないわよ?ま、来るかどうかは知らないけど


智春:なんで地方の大学に行っちゃうかなぁ・・・


さつき:吉乃ちゃんのお父さんの転勤もそうだけど、行きたい学部がここら辺にはなかったからって言ってたわよ


智春:でも近くの大学にもその学部あったじゃん


さつき:それは私立でしょ?吉乃ちゃんが行くのは国立。智春と彼女はここが違うのよ(頭を指差して)


智春:さつきだって俺と同じ大学じゃないか


さつき:智春の学部より偏差値10も上だからね、私


智春:うっ・・・


さつき:・・・にしても、三年間であれだけ色々してあげたのに数えれるくらいしか話せないってどういうことよ・・・


智春:悪かったね、内弁慶で


さつき:別に責めてるわけじゃないわよ。ただもうちょっと積極的に行けばよかったのに


智春:・・・こうやってさつきと話してる時みたいに会話できればいいんだけどなぁ


さつき:えっ!?そ、それってどういう・・・


智春:楽しく話が出来る関係ってことだよ


さつき:なっ・・・・・・ななな、何言ってんのよ!!


智春:?いきなり顔赤くしてどうしたんだよ?


さつき:だ、だって智春が・・・そんなこと・・・いうから・・・(段々声を小さく)


智春:なんだそりゃ?


さつきM:もぅ、本当に天然でタラシなんだから・・・


智春:あ、そういや今日親父とお袋がいないからそっちで晩飯食べさせてもらっていい?


さつき:え?じゃあ明日の卒業式におじさんとおばさん来ないの?


智春:あぁ。もう大学生になろうってのに親が式に来るのは気持ち悪いって言って、夫婦で旅行に行っちまった


さつき:なんとも放任主義な人たちね・・・


智春:ってわけでお願いな


さつき:はぁ・・・。・・・ちなみにお母さんが仕事で遅くなるから晩ご飯食べるなら私のになるわよ?


智春:さつきの料理か・・・


さつき:何よ、その含みのある言い方は


智春:ん?いや、きっとうまいだろうなぁって


さつき:・・・・・・


智春:なんだよ、急に黙って


さつき:・・・バカ


智春:いきなりバカってなんだよ・・・


さつき:智春はバカだって言ってるのよ・・・


智春:はぁ?


さつき:・・・そ、それじゃあ料理作って、待ってるからねっ!


タッタッタッタ(さつきが去っていく音)


智春:・・・意味わかんねぇ

 

 

-食事後-

 

 

智春:はぁ、食った食った・・・。やっぱり美味かったじゃないか


さつき:・・・ありがと


智春:さつき、さっきからなんかおかしいぞ?


さつき:そんなこと・・・ないわよ


智春:そうか?なら、いいけどさ。・・・・・・はぁ


さつき:なんで今度は智春が暗い顔してるのよ


智春:いや・・・また、梅井さんのことを思い出してさ・・・はぁ


さつき:女々しいわねー


智春:うるさいな、どうせ俺は卒業まで告白できなかった弱虫だよ・・・


さつき:・・・・・・それだったら


智春:ん?


さつき:それだったら、もう・・・諦めたら?


智春:は?何を言って―――


さつき:だって・・・さ、もう告白しないままなんでしょ・・・


智春:なんでそんなこと言うんだよ・・・!


さつき:思ったことをそのまま言っただけだよっ!


智春:まだ分かんねぇだろ!


さつき:分かるもん!


智春:ならなんで今まで応援なんてしてくれてたんだよ!


さつき:だって!!・・・・・・好きな人の頼みを断ることなんてできなかったから・・・断ってたら・・・智春は私の方を向いてくれなかったから・・・


智春:それって・・・どういうことだよ?


さつき:・・・今こうやって仲良くなってるのも、たまたま吉乃ちゃんの友達で、たまたま幼馴染だった私に智春が相談しに来てくれたからなんだよ?
そうじゃなきゃ、今も『偶然幼稚園から高校まで一緒だった知り合い』って関係のままで・・・話もせずに卒業してたんだから・・・


智春:・・・・・・


さつき:・・・だから・・・私は今言う。・・・私は・・・智春のことが・・・・・・好き


智春:・・・卑怯だ、こんなの


さつき:そうだね・・・・・・ごめん


智春:・・・・・・


さつき:・・・・・・


智春:・・・卒業式が終わるまで


さつき:え?


智春:卒業式が終わるまで、考えさせてくれないか・・・。今・・・頭ん中が訳わかんなくなってきた・・・


さつき:うん・・・わかった・・・


智春:それじゃ・・・。飯、ごちそうさま。ホントに美味かったよ


さつき:うん、ありがとう。じゃあね・・・

 

 

−翌日−

 

 

智春:あぁ・・・結局ほとんど寝られなかった・・・


智春M:にしても、なんでさつきから隠れるように登校してんだ、俺・・・


さつき:・・・智春、おはよ


智春:おわっ!?


さつき:なんでそんなオーバーリアクションなの?


智春:べ、別になんでもねーよ


さつき:・・・そう


智春:そうだよ・・・


さつき:・・・返事、待ってるからね


智春:おう・・・

 

 

−卒業式終了後−

 

 

さつき:卒業式、終わっちゃった・・・


さつきM:あの後、智春を見れなかった・・・。吉乃ちゃんを誘う姿なんて見たくなかったから・・・
もしかしてこうやって待ってる間にも二人は―――


智春:すまん、結構待ったか?


さつき:へ?いや、大丈夫だよっ!


智春:・・・なんかあった?


さつき:ただ、びっくりしただけだよっ


智春:そっか


さつき:・・・それで、吉乃ちゃんのとこに行ったの?


智春:・・・・・・うん


さつき:そっ、か・・・。そうだよね・・・やっぱり吉乃ちゃんの方が―――


智春:また同窓会で会おうねって言ってきた


さつき:え?


智春:告白・・・しなかった
 

 

さつき:・・・なんで?


智春:え?


さつき:なんで告白しなかったの?


智春:・・・昨日と言ってることが逆じゃねぇか


さつき:・・・もし私が好きなんて言わなかったら絶対智春は吉乃ちゃんに告白してたっ!


智春:そんなことない、さつきが言わなくても結局ウジウジしてて言えなかったよ


さつき:嘘だよ!私に気を遣わなくてもいいんだよ!


智春:嘘じゃない!


さつき:じゃあなんでよ!?


智春:あー、もう!お前の方が大切だからだよ!!・・・恥ずかしいから言わせんなよ


さつき:っ・・・!


智春:ただ・・・大切だけど・・・それでも・・・さつきの告白にも応えられない


さつき:・・・


智春:幼馴染って関係だったのが、昨日の今日でいきなり恋愛対象には・・・みれなかった


さつき:・・・(鼻をすする)


智春:・・・だから


さつき:・・・?


智春:だから・・・大学も同じだし・・・これからゆっくり答えを出しちゃ・・・だめか?


さつき:・・・・・・


智春:・・・さつき?


さつき:ぐすっ・・・ぐすっ・・・


智春:な、なんで泣いてるんだよ!?


さつき:だってぇ・・・ともはるがそんなこというんだもん・・・


智春:そんなことってなんだよ・・・


さつき:・・・バカ


智春:いてっ、なんで叩くんだよ


さつき:(鼻をすする)・・・バカだからだよっ


智春:それじゃあ答になってねぇだろ


さつき:・・・あはは


智春:ったく・・・泣いたり笑ったり忙しい奴だなぁ


さつき:誰のせいだと思ってるのよぉ


智春:はいはい。・・・まぁとにかく


さつき:?


智春:・・・これからもよろしくな


さつき:・・・・・・うんっ!

 

 

−Fin−



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