境附高校とでん部 一話 物語の始まり
 
 
人物
 
浦葉 呂亜(うらば ろあ)
境附高校一年A組。出席番号1番。
霊媒体質ならぬ都市伝説体質を持ち、周りから聞いた噂を
ことごとく経験していく。軽い性格で、助平。
貝木の誘惑に負けとでん部に入部。それ以降都市伝説に遭いまくることに。
 
 
貝木 和子(かいき わこ)
境附高校一年A組。出席番号7番。
見た目は清楚な感じだが、それとは裏腹なハイテンションガール。
お化けや都市伝説などの怖い話が大好きで、
その類の話をすると違った意味で「キャー♪」と叫ぶ。
浦葉と隣の席だということから仲良くなり、
部活見学の際にとでん部に入ろうと誘う。
 
 
本郷 こはく(ほんごう こはく)
境附高校二年D組。出席番号20番。
とでん部部長。幼馴染の岡に無理矢理部長にさせられる。
本人はすごく怖がり。顔が幼く背も少し小さいため一年生と間違われる。
ファンクラブが設立されている程の人気。
 
 
岡 流斗(おか ると)
境附高校二年C組。出席番号5番。
とでん部副部長。とでん部創設者。親はこの学校の理事長で、
コネによりサークルでなく部として設立。都市伝説に興味があり、
日ごろから研究している。幼馴染の本郷を連れまわし
あちらこちらへ調査することがしばしば。周りからはデートと言われているが、
本郷は少なからずそうは思っていない。
 
 
○役取り用テンプレ
境附高校とでん部 第一話
http://hanamaruikka.web.fc2.com/todenbu/story1.html
〜配役・性別・セリフ数〜
浦葉 男性 52
貝木 女性 51
本郷 女性 37
岡   男性 32
 
 
 
 
 
※注意事項 この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません









 
 
 
 
 
 
本郷「都市伝説、それは現代に広がったとみられる口承の一種である」
 
 
岡「それらの多くはただの噂であり、形を変えながら世間の人々に広まっている」
 
 
貝木「しかし、それらの中には実際に起こった出来事もある」
 
 
浦葉「これから話すのは都市伝説に出会った俺たちの、学園生活のほんの一部である」
 
 
 
 
 
浦葉(タイトルコール)「境附高校とでん部」
 
 
 
 
 
−放課後 教室の一角にて−
 
 
貝木「ねっねっ、浦葉くん。部活見学どこに行くとか考えてる?」
 
 
浦葉「は?なんだよいきなり。それに見学になんか行く気ねーよ」
 
 
貝木「えー、折角高校生になったんだからさ。もっと青春しようよ!」
 
 
浦葉「俺は本能のまま楽して生きてきたいの。だから入るとしたら帰宅部、もしくは水泳部だな」
 
 
貝木「帰宅部って部活じゃないし……それに、なんで楽したいのに水泳部?」
 
 
浦葉「水着の女の子が一杯いるからに決まってんだろ?」
 
 
貝木「……浦葉くんって結構スケベな性格してるのね」
 
 
浦葉「んなもん男はトーゼンの考えなの、分かるか?」
 
 
貝木「女の子に同意を求めないの。けど、つまり今からは暇ってことよね?」
 
 
浦葉「残念だけど、俺には帰宅するという大事な任務が……」
 
 
貝木「じゃあ私と見学行こっか!うん、それがいい!」 ←前のセリフが終わったらすぐ言うように
 
 
浦葉「……おい、人の話を聞けよ」
 
 
貝木「それじゃあしゅっぱーつ!おー!」
 
 
浦葉(なんで俺が……でもまぁ、貝木ってよく見たら……いや、よく見なくても可愛いし胸もまぁまぁ……
   悪い気はしねぇし、それにこんな熱烈なお誘い……もしかして俺に気があるんじゃねーのか!?)
 
 
 
 
 
 
−廊下をウロウロする浦葉と貝木−
 
 
貝木「うーん、中々面白そうな部活がないねー」
 
 
浦葉「一時間以上俺を振り回した揚句言う言葉がそれかよ……」
 
 
貝木「いやー、あはは……」
 
 
浦葉「それに、部活に面白さは必要ないだろ。試合に勝つためにやるんじゃないのか?」
 
 
貝木「それはそうだけどさ、なんか新鮮味が足りないじゃない?こう、興味が惹かれるものがさ」
 
 
浦葉「今のご時世にそんなもんあるわけ……って、おい。どこ見てんだよ」
 
 
貝木「……ねぇ、浦葉くん。これ、何だと思う?」
 
 
浦葉「ん?なになに……とでん部……?なんだこの部」
 
 
貝木「浦葉くん。私、興味が惹かれるもの見つけちゃった」
 
 
浦葉「おい、まさかこのよくわかんない部を見学するつもりじゃないだろうな?」
 
 
貝木「もちろん!浦葉君もついてきてくれるよね?」
 
 
浦葉「い、や、だ。俺のつき添いはここまでだ」
 
 
貝木「どうしても?」
 
 
浦葉「どうしてもだ」
 
 
貝木「そっか……これが終わったら浦葉くんと『楽しいこと』したかったのになぁ……」
 
 
浦葉「楽しいこと……だと……!」
 
 
貝木「でも浦葉くんがここで帰っちゃうならしょうがないよね。私一人で行くね」
 
 
浦葉「いや待て!……俺もついてく」
 
 
貝木「ホントに!?ありがと、浦葉くん!」
 
 
浦葉「いやーどうしてもって言われたらなー、へへへ……」
 
 
貝木(うわー、ちょろいなー)
 
 
 
 
 
−とでん部 部室内−
 
 
貝木「失礼しまーす……」
 
 
本郷「あれ、岡君早かったねー……って、あれ。見慣れない顔ですね、入部希望の子?」
 
 
貝木「子って……君も一年生じゃ……」
 
 
浦葉「うおっ……!」
 
 
本郷「な、なんですか。そっちの男の子くん」
 
 
浦葉「か、かわいい……!」
 
 
本郷「あ、あの……ちょっと、顔が怖いかも……」
 
 
貝木「こーら!浦葉くん。スケベなのはいいけど流石に性犯罪に走らないの!」
 
 
浦葉「……ったく、まだ何もしてないだろ」
 
 
本郷「まだってなんですか……」
 
 
貝木「それよりも、ここの部長ってどこにいるの?」
 
 
本郷「あ。部長なら私です」
 
 
貝木「え?」
 
 
本郷「えっ?」
 
 
貝木「だってあなた一年生じゃ……」
 
 
岡「こはく、今戻った……ん、お前ら誰だ?」
 
 
本郷「あ、岡くーん、おかえりー」
 
 
浦葉「お、部長っぽい人」
 
 
貝木「えーっと……あなたが部長さん、ですか?」
 
 
岡「いや、俺は副部長の岡だ。部長はそっちにいるちっこいのだ」
 
 
本郷「ちっこいのって言うな!」
 
 
貝木「え、さっきの話ってマジだったんですか?」
 
 
本郷「だからさっき言ったじゃないですか」
 
 
浦葉「あぁ、泣きそうな顔も可愛い……」
 
 
本郷「ちょっと!また犯罪者の目になってる!岡君助けて……」
 
 
岡「ふむ……」
 
 
本郷「岡君!?」
 
 
岡「いや、いつも親衛隊に守られているこはくが襲われてるのは新鮮だなと」
 
 
本郷「そんな新鮮さいらないよー!」
 
 
貝木「あのー、すっごく失礼なんですけど、彼女は本当に二年生なんでしょうか?」
 
 
岡「本当だ。名前は本郷こはく、二年D組で出席番号は20番。周囲の友人曰く、見た目がものすごく可愛いとのことでファンクラブ、親衛隊があるらしい」
 
 
貝木「『とのこと』とか『らしい』とか、ずいぶん伝聞的ですね。岡……さんはその親衛隊に入ってないんですか?それにこの部活に親衛隊の人はいない……ですよね」
 
 
岡「こはくとは幼馴染で幼稚園から今までずっと傍にいるが可愛いと思ったこともないし、守らなくちゃいけない義理もない。
  それと、親衛隊がこの部にいると部活動が成り立たんから出禁にしている」
 
 
貝木「なるほど……」
 
 
本郷「岡君ー!説明は良いから早く助けてーっ!」
 
 
浦葉「へっへっへ……女の子のいい匂い……」
 
 
貝木「ちょっと!本気で犯罪だからそれ!」
 
 
岡「やりすぎだ」
 
 
浦葉「ぐはっ!?」
 
 
本郷「うぅ、ありがとう……」
 
 
岡「このままだと話が進まんからな」
 
 
浦葉「いてて……延髄チョップは犯罪だろ……」
 
 
岡「お前の行為も同じようなもんだ」
 
 
貝木「で、とでん部って一体何の部活なんです?」
 
 
岡「そうだったな……君たちは都市伝説を知っているか?」
 
 
貝木「都市伝説、ですか?あの口裂け女とかこっくりさんとか」
 
 
浦葉「……!」
 
 
岡「そうだ。都市伝説は元々はごく普通の人が経験したちょっとした出来事から始まっていく。
  その話が人々の間に伝わっていく中で尾ひれがついていき、
  最終的に、元あった話とは何ら関係のない話が出来上がっていくという訳だ」
 
 
貝木「へー……じゃあこのとでん部って都市伝説部ってことですか?」
 
 
本郷「そうなんです。でも流石にそのまんまっていうのもお堅いかなーって思ってとでん部にしたんです」
 
 
貝木「落語研究会を落ち研って略すのと同じですね」
 
 
本郷「そうですねー……って、なんで男の子くんは耳をふさいでるの?」
 
 
貝木「おーい!何で耳ふさいでるのー!」
 
 
浦葉「……あ、話終わった?」
 
 
貝木「終わった?じゃないわよ」
 
 
本郷「どうして耳を塞いでたの?」
 
 
浦葉「あー……それは、その……」
 
 
本郷「何か言いたくない理由でもあるの?」
 
 
浦葉「いや、そうじゃないんスけど……なんというか」
 
 
貝木「さっきまでと違ってえらく言い淀むね」
 
 
本郷「無理して言わなくて良いからね?」
 
 
浦葉「……絶対、笑いませんか?」
 
 
岡「モノにもよるが、実はお前が女だったとかだったら抱腹絶倒してやる」
 
 
本郷「こーら、人の決意をバカにしない」
 
 
貝木「で、結局何なの?」
 
 
浦葉「実は俺……人の噂を本当にする力があるみたいなんです」
 
 
貝木「え……?」
 
 
本郷「へー……」
 
 
岡「……」
 
 
浦葉「ほらやっぱり信じてくれなかったー!」
 
 
貝木「いや、話が突飛過ぎて理解しきれなかっただけ」
 
 
本郷「え、それって本当なの?」
 
 
浦葉「まぁ噂って言っても個人的な噂とかじゃなくて周りの皆が知ってるような有名なものだけみたいなんですが」
 
 
岡「どうしてその能力があるってわかったんだ?」
 
 
浦葉「確か、小学校中学年くらいだったと思います。その時学校でこっくりさんに似た『エンジェルさん』ってのがあったんです」
 
 
本郷「わー、懐かしいなぁ。私もそれくらいの時にやった覚えあるな」
 
 
浦葉「で、その時に『エンジェルさんはお菓子が嫌いだから呼んだ時に持ってた奴は地獄に落とされる』っていう噂があったんです」
 
 
貝木「天使なのに地獄って……」
 
 
浦葉「俺がその噂を聞いた日の放課後に、エンジェルさんをした奴の内、一人が行方不明になったんです」
 
 
本郷「えっ、それって本当に……?」
 
 
貝木「で、でもそれだけだと偶然かもしれないじゃない?」
 
 
岡「他にどんな体験をした?」
 
 
浦葉「はい。中学校に上がった時に、今度は学校の七不思議の噂を聞いたんです」
 
 
本郷「走る人体模型とかトイレの花子さんとか?」
 
 
浦葉「そうですね、内容としてはよくある話でした。けど、この時も俺が話を聞いた晩に警備員のおっさんが目撃したらしいんです……」
 
 
貝木「やっぱり本当なの……?」
 
 
岡「ふむ……しかし、話を聞く限りでは偶然という可能性の方が高い。
  実際にお前が経験した訳ではないし、行方不明に関しては単なる誘拐事件で警備員の方は嘘をついたということも考えられる」
 
 
浦葉「……」
 
 
岡「だが、俺はお前の力を信じよう」
 
 
浦葉「信じて、くれるんすか?」
 
 
本郷「岡君こういう類の話大好きだからねー」
 
 
岡「そうでもなければこんな部など作ってない……でだ」
 
 
浦葉「はい?」
 
 
岡「お前を正式にとでん部の部員として入部を許可する」
 
 
本郷「わー、おめでとー!」
 
 
浦葉「……は?」
 
 
貝木「あれ、私は?」
 
 
本郷「女の子ちゃんの方も入部オッケーですよー。ちなみに名前を教えてもらえますか?」
 
 
貝木「あ、すみません、自己紹介が遅れちゃって。私は貝木和子で、彼は浦葉呂亜君です」
 
 
岡「早速だが浦葉とやら、入部届けに名前を書いて職員室に提出して来い」
 
 
浦葉「ちょちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
 
 
岡「なんだ、浦葉」
 
 
浦葉「岡先輩はさっきの話聴いてたでしょ」
 
 
岡「あぁ、ばっちりとな。お前が噂を現実にするという話だったな」
 
 
浦葉「だったらなんで俺の力発揮させるような部に入れさせるんですか?」
 
 
岡「噂を現実に出来るからだ」
 
 
浦葉「はぁ?」
 
 
岡「さっきも言ったが都市伝説って言うのは元々人が起こしたちょっとした出来事だ。
  だがそれが現実化するのは非常に興味深い。どういう形で、どういう理屈で俺たちの目の前に現れるのか……」
 
 
貝木「岡先輩って、もしかしてちょっとココがおかしくなってます?」
 
 
本郷「うん、そうだね……とにかく都市伝説に関しては狂ってるほどに」
 
 
岡「という訳だ浦葉。今すぐ提出して来い」
 
 
浦葉「いや、そもそも俺はこいつについてきただけだし……」
 
 
本郷「え、浦葉君は入部してくれないんですか?」
 
 
浦葉「うっ……そんないたいけな瞳で見つめられると……」
 
 
貝木「浦葉くん……私と、『タノシイコト』するんでしょ?」
 
 
浦葉「く、くそったれぇ!」
 
 
貝木「それじゃあ職員室行ってきまーす!」
 
 
 
 
 
本郷「浦葉君、足はやー……」
 
 
岡「……くっくっく、これで俺の研究がまた一歩前進する訳だ」
 
 
本郷「酷いなー岡君。もうちょっと新入生の入部を喜びなよ」
 
 
岡「素直に喜んでるじゃないか」
 
 
本郷「単に研究の駒が手に入って喜んでるだけでしょー」
 
 
岡「……よく分かったな」
 
 
本郷「13年幼馴染してるからねー。でもようやく部活動っぽいことが出来そうだね」
 
 
岡「そうだな」
 
 
本郷「可愛い後輩たちをいじめたらダメなんだからね」
 
 
岡「……さっきまで襲われてたやつが言う台詞か?」
 
 
 
 
 
 
 
 
−to be continue→
 
 
 
 
 
【しなくてもいい次回予告】
 
 
貝木「都市伝説部、略してとでん部に入部した私たち」
 
 
浦葉「そこで早速耳にしてしまった都市伝説が俺たちを襲う」
 
 
岡「隙間女―――過去にこの高校で殺された女子生徒の怨念が生み出した産物」
 
 
本郷「襲いかかる恐怖に私たちはどうなってしまうのか」
 
 
浦葉「次回 境附高校とでん部 第二話 影から覗く悪意の視線」
 
 
貝木「皆さんも都市伝説にはご注意を」
 
 
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